日産自動車の元会長・カルロス・ゴーン氏が、保釈期間中に、中東のレバノンを出国したという声明を出しました。
この逃亡劇を受けて、保釈条件として、ゴーン氏のパスポートを管理していた弁護団に対し、「パスポート管理に問題があったのでは?」と、責任を追及する意見が相次いでいますね。
そもそも、本件で弁護士の責任はあるのでしょうか?
今回は、そのあたりを掘り下げてみました。
ゴーン氏の弁護団メンバー
引 用:https://www.asahi.com/articles/photo/AS20190215005227.html
●高野隆(たかのたかし)…刑事弁護の業界では、神山啓史、後藤貞人と共に三大刑事弁護人の一人
●河津博史(かわつたかし)…2009年の郵便不正事件で厚生労働省の村木厚子元事務次官の無罪を勝ち取る。
●弘中惇一郎(ひろなかじゅんいちろう)…クロロキン、クロラムフェニコール、日化工クロム職業病裁判(六価クロム)など多くの薬害事件を担当したほか、マクリーン事件などを担当。
●喜田村洋一(きたむらよういち)…ロス疑惑事件や薬害エイズ事件で被告を無罪を勝ち取る。
ゴーン逃亡で弁護士資格の停止・はく奪を求める声多数!
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ということで、中東のレバノンを出国したという声明を出したカルロス・ゴーン氏。
ゴーン氏担当の弘中惇一郎弁護士は「寝耳に水で大変当惑している。報道以上に知っていることはない」とコメントを出しています。
しかしながら、今回の前代未聞の逃亡劇を受けて、ネット上では、弁護士の責任を追及する声が相次いでます↓
ゴーン被告弁護団が辞任検討 「来週にも連絡取りたい」 レバノン逃走(時事通信) https://t.co/fjLM0VjT8H
辞任ではなくゴーンを日本に連れ戻し、日本の裁判に服させることが弁護団の責務であろう。それができなければ、弁護士資格の返上くらいの責任を取るべき。 #カルロスゴーン #弘中弁護士— トム (@itodyb) January 4, 2020
弘中はパソコンを提出するか検討中ではなく即刻提出するべきだろ
弁護団解散で責任逃れなんか絶対に許すな
弘中以外の弁護士もゴーンが帰国するまで弁護士資格停止だな
— 渡邉 拡庸 (@FactJustice) January 4, 2020
ゴーン弁護士どう責任取るか見てみよう資格返上か剥奪か?
— やまだのかかし (@yogocoyogoco) January 4, 2020
ゴーン被告の弁護士、弘中さんの責任は重い。弘中さんの弁護士資格剥奪を行うべき。
— トクジロウ (@7lMVTK8E7mE0eFw) January 1, 2020
ゴーンの海外逃亡?
弁護団の弁護士全員に責任がある
弁護士資格を剥奪しろ#ゴーン#弘中弁護士#弁護団— メンソール (@menthol2020) December 31, 2019
ということで、ネット上では、弁護士資格の返上やはく奪を求める声が相次いでいますね。
一方で、「弁護士の責任はない」との投稿もありました。
ゴーン逃亡で弁護士の責任はあるの?
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果たして、保釈中の逃亡に、弁護士の責任はあるのでしょうか?
被告人が保釈中に逃亡してしまった場合の責任について、次のような情報がありました。
保釈中に逃亡したら身元引受人の責任はどうなる?
弁護士が保釈請求する際、身元引受人を立てるのが一般的です。身元引受人に「責任をもって本人を監督します。」といった書面を作成してもらい、弁護士が裁判所に提出します。
それでは、被告人が逃亡した場合、身元引受人が責任を追及されるのでしょうか?
身元引受人が被告人の監督を誓約していたとしても、法的な責任までは負いません。そのため身元引受人が裁判所や捜査機関から責任を追及されることはありません。
引 用:刑事弁護専門サイト
身元引受人の責任
保釈された被告人が、身元引受人の監督を受けていながら、逃亡や証拠隠滅を行なってしまうことがあります。この場合でも、身元引受人が国や裁判所から刑事責任や民事責任を追及されることはありません。
引 用:アトム法律事務所
今回、ゴーン氏の保釈に際し、弁護士は、パスポートの管理を担っており、被告人の監視の一部を担っていたと考えられますが、上記から、法的な責任を問うの難しいのではないかと思われます。
また、下記のとおり、保釈中の逃亡は、被告人本人も逃亡罪に当たらないようです。
保釈中に逃亡しても逃走罪にはならない
勾留中に逃走した場合は、逃走罪(刑法97条)が成立します。
逃走罪は国の拘禁作用を保護する犯罪です。そのため、逃走罪の対象になるのは、現に刑事施設に勾留されている人だけです。保釈中は刑事施設で勾留されているわけではありませんので、たとえ逃亡しても、逃走罪は成立しません。
引 用:刑事弁護専門サイト
けれども、弁護団は逃亡発覚直後、「全ての旅券は預かったまま」だとコメントしていましたが、その後、「地裁と協議して鍵付き旅券を所持していた経緯を失念していた」と釈明するなど、パスポート管理が甘かったように思われ、何だか釈然としませんよね。。。
ネット上の声にあるのは、法的な責任というよりも、道義的な責任を求める声が強いと思われ、今後、批判はますます強くなるのではと思われます。